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10月 21

秋の交響曲 殺人予告で脅されていた悲嘆の中にあったワルターの置き土産 戦後のそれ、とは違う録音を大型蓄音器で楽しみませんか

第 294 回 蓄音器でレコードを楽しむコンサートのご案内

  • 日時 : 平成 24 年 10 月 21 日(日曜日) 午後 1 時 30 分より
  • 場所 : 熊本博物館 特別展示室 ( 1 階 )
第1部 ブラームス作曲 交響曲 4 番 ホ短調
1885 年 ブラームス 52 才で円熟期の作品です。深い内省的な思索と一貫した哀愁を持っており、「秋」の交響曲とか「悲嘆」の音楽とか言われたりしますが、彼の交響曲を通じてもっとも主観的な意想を持ち、透徹した心境からにじみ出る音楽は、人生の挽歌のような静寂を感じさせる後期のブラームスを代表する名曲です。演奏はブルーノ・ワルター指揮、BBC 交響楽団、1934 年録音 HMV の英国盤で聴きましょう。
第2部 題名に身につける物が出ている歌
数多い歌の題名(曲名)の中には、帽子・服・履き物など私たちが身に付ける物がその中に歌われているのがあります。今回はそんな歌を集めてみました。
予定曲:赤い靴、白いスポーツ、コート、赤いマフラー他

※ 今月の例会は21日(第3日曜)です。
  お間違えの無いようにお願いします。

第293回蓄音器でレコードを楽しむコンサートのご案内

第293回蓄音器でレコードを楽しむコンサートのご案内

熊本博物館はモンタナから来た『大恐竜展』を催しを終えて、館内は一息という印象。来春からは活用しきれていない視聴覚設備、ホールとプラネタリュームスペースを中心とした内部改装が行われる。足掛け2年に渡る大仕事だ。展示品を移転させている最中で、その開いたスペースを利用しての『大恐竜展』でした。それも先月末に終了して、今の熊本市立博物館の館内はガランとしています。見慣れてしまって珍しくもなかったものでも、あるべきところにないのって殺風景だなと来訪者が感じるのと違って異質です。21日の『第294回 蓄音器でレコードを楽しむコンサート』で聴いて貰う、ブラームスの交響曲第4番は、ワルターがナチスに嫌がらせを受けて居た堪れないであちらこちらに有りどころを探していた時期の録音です。
親友としてマーラーと一緒にウィーンへ移ってきた時にユダヤの姓をとってブルーノ・ワルターは、破竹の勢いでウィーン宮廷劇場の楽長、ミュンヘン宮廷劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、ライプツィヒ・ゲヴァントハウスで活躍。人気絶頂の指揮者だったので民衆の反感を受けないようにという思惑だったのでしょう。ナチスは嫌がらせ作戦で、ワルターが辞任するように謀ります。殺人予告をしたり、楽屋に銃弾を撃ちこんだり。そんな矢先、次女のグレーテルが夫に射殺され、当の夫も自殺。そのような事態になったのも、オペラ劇場の人気歌手を自宅に招いたからともなれば『悲嘆』の交響曲は、その頃の最もワルターの心情を表出できる音楽だったことでしょう。56歳の指揮者と、作曲家が52歳の時の交響曲は、その年代に達して価値の感じられる音楽なのかもしれません。(1934年5月21日録音)
ブラームスの交響曲第 4 番は、バッハのカンタータ第 150 番『主よ、わが魂は汝を求め』の終曲合唱「我が苦しみの日々を」でのバスの主題、4 小節が全曲の核となっています。ブラームスにとってこのメロディに基づく交響曲を描き上げることは大切なことだったのではないでしょうか。ひと月ほどで書き上げた2番、3番と違って二年越しで完成。作曲は第3番に先駆けているので、前に書き上げられた2つの楽章と残りの2つの楽章の間に第3番を完成。第3番にどこかしら、面影を感じられるのも道理でしょう。さて、この第4番の完成を直前にしてピアノ版での試演を聴いてもらっているというのに、ハンスリック、リヒター、カルベックらが後半の2つの楽章は書きなおしたほうがいいという提案を受け入れていない。ブラームスの反応としては珍しいものです。大変魅力的な第1楽章の第1主題は一度聴いたら忘れられない。第4楽章は交響曲のフィナーレとしては他に例がないパッサカリア(シャコンヌ)形式で書かれており、それがこの曲を難解と感じさせる原因にもなっています。しかし、バッハが好きな人ならこの曲の中に、偉大なるドイツ音楽の歴史を感じることができることでしょう。ブラームスは5番目の交響曲を書いていただろうに、ヨアヒムが新しい曲がほしいと望んだのにあっさりと交響曲第5番となるはずだったのを、ヴァイオリンとチェロの二重協奏曲に書き直しています。ブラームスにとって、第4番のシャコンヌを書いたことで新しい交響曲に未練のないほど、充分だったのでしょう。
今回聴きます。ブルーノ・ワルター指揮 BBC 交響楽団のレコードでも、最も聴きどころです。BBC 交響楽団は、英国オーケストラで自国の作曲家、パーセルは誇らしい存在ですし、そのパーセルが得意としたパッサカリアの様式でドイツ人が書いた曲には抱く思いも強かったでしょう。まして戦争の機運が高まっていた時期だけに、この時期の録音であるということは歴史的モニュメントでもあるかもしれません。翌年、1936 年のトスカニーニ指揮 BBC 交響楽団のライヴ録音も名演。
1959 年 2 月にステレオ録音で全集をワルター指揮コロンビア交響楽団で発売したのは 25 年後。全集としては素敵な演奏ですが、酸いも苦いももう甘い思い出に感じられるようになっている心境になったら何がしか意味を噛み締められる演奏なのかもしれません。名盤に数えられますが、第4番の終楽章にもう少し厳しさが欲しい思いがあります。
先月は『民謡調の歌謡曲』だった第2部。引き続きユニークな選曲です。赤い靴、白いコート、赤いマフラー。季節的にも秋冬ファッションですね。春や夏は、海だ山だと、子供たちは裸同然。風景の色鮮やかさを歌に織り込まれていることが多いようですが、秋冬はいでたちが鮮やかな季節だと言えそうですね。楽しみです。今月はいつもと違って第3日曜日の例会です。会場は特別展示室(一階ホール)での利用となっていますので、大型蓄音器でレコードコンサートを行います。近頃は研修室で小型の蓄音器で聴いて貰うことが多かったので、賑やかに大きな音響で聴いて頂けます。『交響曲第4番』繋がりで、次回11月はベートーヴェンの交響曲第 4 番を予定しています。

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